派遣社員を採用する立場から派遣社員に

わたしが派遣社員になろうと思ったきっかけは、会社に定期的に入ってくる派遣会社の営業の方との面談でした。会社の景気が悪く、今後は今まで通り、紹介予定派遣の方の受け入れや、定期的にお願いしていたキーパンチャーの依頼をすることができないことを伝えなければいけなかったのですが、逆に営業の方から、派遣で働く気があったら、いつでも連絡してほしいと言われたのです。

あまりの意外なお申し出に驚き、こちらの用事もそこそこに、理由を聞いてみたところ、実は、今までリストラで会社を辞めた方々が、その後、就職活動が不況のあおりを受けて難航しているため、以前辞めた庶務の方を通じて、その方に連絡を取ってお世話になっていることを知りました。

当時、わたしが勤めていた会社は、残業や休日出勤は当たり前という体制だったため、多くの方々が、辞める前に満足な就職活動ができなかったため、精神的にも体力的にも弱ってしまい、なかなか次の新天地を見つけられないと噂では聞いていました。実はわたしも、在職中に資格を取得して、転職したいと考えてはいたのですが、転職サイトに登録することくらいしか転職活動ができていなかったのです。

プロの営業マンは、そのようなわたしの状況を見抜いていたのか、さらに、話しを続けて下さったのです。

正社員がどのように会社を辞めれば有利か、どのタイミングで転職活動をすればいいかを雑談を交えてアドバイスをして下さり、派遣で働くことになれば、どのような会社で働けるか、また、派遣登録すればスキルアップの際は専門学校の学費が安くなることなども説明して下さったのです。

そのときのアドバイスが脳裏に焼き付き、結局、その後、登録会に参加。正社員で長く働ける会社を強く希望していたため、なかなか紹介してはもらえないだろうと思っていたのですが、すぐには難しいが何社か紹介できるとのことでした。

その後、勤めていた会社でリストラがあり、以前、派遣会社の営業の方からのアドバイスがあったので、円満退職できる準備を整えました。まずは、上司に、お世話になった感謝を申し上げ、解雇扱いにしていただけるのならと希望退職者リストに名を連ねることに同意し、不安があったのですが、転職活動をしても良いとの了承をいただき、早速、派遣会社に連絡を取りました。

早速、担当の営業の方から連絡をいただき、会社訪問の日時の調整をしていただきました。

勤めていた会社を早退して、制服のままでも構わないとのことで伺ったはじめての会社訪問では、担当の派遣会社の営業の方からの質疑応答の事前練習をしていただいたこともあり、和やかな雰囲気で会社の中を案内してもらうことからはじまりました。今まで勤めていた会社とは全く異なり、大きな会社に綺麗なオフィス。休憩室は清潔で、掃除は清掃員がされているため、ゴミ出しすら社員の仕事ではないとの話に驚きました。

その後、応接室に通されたわたしに、具体的な仕事内容や制服の貸与などの説明があり、帰宅後、すぐに派遣会社の担当者より、採用が決まったとの連絡をいただきました。

結局、勤めていた会社を退職した翌週から働くことになり、毎日、決まった仕事を決まった時間内にさばいて、手書きのタイムカードに派遣先の担当者から印鑑をもらうという日々を過ごしました。

事前に、派遣会社の営業担当や事務担当の方々から丁寧な説明があったこともあり、実際に働き始めてからの、イメージと違った点はなかったのですが、以前のように会社の発展に貢献するぞという無理難題を押し付けられることなく、ルーティンワークをこなす毎日に、最初は喜んでいたのですが、3カ月毎の更新契約の不安と、やりがいを失ったような少し寂しい思いをするようになりました。

とても大きな良い会社で、人間関係も煩わしいことが全く無く、長く雇ってくださるとのことだったのですが、正社員になることが難しかったため、結局、派遣社員で働きながら正社員で働ける会社に転職しました。今でもたまに派遣会社から、何かあったら連絡を下さいという電話を心の支えに、働いています。